付加保険料と国民年金基金はなぜ同時加入できないのか


将来、会社を辞めて個人事業主になるのもアリかな〜って思ってるんだけど、
国民年金だけだと、ちょっと心もとないよね。
それにさ、年金を上乗せできる付加保険料と国民年金基金って制度があるのに、
なんで両方は入れないの?
同じ“老後のため”なのに、なんだか納得いかないなあ…

いいところに気づいたね、きりちゃん。
付加保険料と国民年金基金は、どちらも“国民年金の上にどう増築するか”を選ぶ制度なんだ。
付加保険料は“少しだけ上乗せする仕組み”、
国民年金基金は“本格的に年金を作り足す仕組み”。
役割が重なるから、どちらか一方を選ぶ設計になっているんだよ。
このあと、それぞれがどんな増築なのかを、順番にわかりやすく説明していくね。
国民年金はすべての人の基本となる一階建て年金

この一階建ての家が表しているのが、国民年金(老齢基礎年金)です。
国民年金は、日本に住む20歳以上のすべての人が加入する年金制度で、
会社員でも、個人事業主でも、専業主婦(主夫)でも、
**全員が共通して持つ「老後の土台」**にあたります。
この一階建ては、
最低限の生活を支えることを目的として設計されています。
雨風をしのぐことはできますが、
ゆとりのある暮らしまでを想定した広さではありません。
そのため、
「国民年金だけで老後は大丈夫だろうか」
「もう少し安心を上乗せしたい」
と感じる人が出てくるのは、自然な流れです。
ここで大切なのは、
どんな人でも、まずはこの一階建てが出発点になる
という点です。
付加保険料や国民年金基金は、
この一階建ての上にどう増築するかを考える制度であり、
土台そのものを置き換えるものではありません。

日本に住んでいる人みんなが入っている国民基礎年金なんだよね。
一階建ての家として考えると、住めなくはないけど……
ちょっと窮屈に感じちゃいそうかも。

そうだね。現実的には、国民年金だけで生活するのはなかなか大変なんだ。
令和7年度の年金額は、満額でも月69,308円。
だから『この家だけで足りるかな?』って不安になる人が多いんだよ。
国民年金+付加保険料は「小さな上乗せ」──屋根裏という増築

付加保険料は、国民年金に少しだけ年金額を上乗せするための制度です。
イメージとしては、一階建ての国民年金の家に「屋根裏」をつけるような増築にあたります。
屋根裏が増えても、
家そのものが大きく生まれ変わるわけではありません。
ただ、収納が増えたり、使える空間が少し広がったりと、
最低限の暮らしに、控えめな余裕を足すことができます。
付加保険料の特徴は、
毎月400円という小さな負担で、
将来の年金額を確実に増やせる点にあります。
その分、上乗せ額も大きくはなく、
あくまで「補助的な増築」という位置づけです。
つまり付加保険料は、
・国民年金を土台としつつ
・無理のない範囲で
・少し安心感を足したい人向け
の制度だと言えます。
このように、
国民年金+付加保険料は
大きく暮らしを変えるための制度ではなく、
一階建てに屋根裏を足すような“小さな上乗せ”
として考えると、役割が分かりやすくなります。

わあ、屋根裏ができたんだね。
大きく変わった感じではないけど、
ちょっとした余裕が増えたと思うと、なんだか嬉しいな。

屋根裏がどれくらいの広さか、数字で見てみようか。
付加保険料は毎月400円だけど、そのうち200円分が年金の上乗せとして戻ってくる仕組みなんだ。
例えば40年間(480か月)納めた場合、
200円 × 480か月 = 年96,000円が、
老齢基礎年金に毎年ずっと上乗せされることになるよ。
しかも、付加保険料として払った総額は
400円 × 480か月 = 192,000円。
年96,000円増えるから、2年で元が取れる計算だね。
あとは受け取る期間が長くなるほど、
その分ずっと上乗せが続く。
だから、長生きすればするほどお得な仕組みなんだよ。
国民年金+国民年金基金は「本格的な上乗せ」──二階建て+屋根裏

国民年金基金は、国民年金にしっかりとした年金額を上乗せするための制度です。
家にたとえるなら、一階建ての国民年金に対して、
二階を建て、その上に屋根裏まで備えた家をつくるような増築にあたります。
付加保険料が「小さな上乗せ」だったのに対し、
国民年金基金は、老後の生活水準そのものを意識して設計できる
本格的な上乗せ制度です。
掛金額は自分で選ぶことができ、
将来受け取る年金額も、それに応じて大きくなります。
その分、月々の負担は付加保険料より重くなりますが、
老後の収入の柱を太くする効果があります。
また、国民年金基金は
終身年金を中心とした設計になっており、
長生きするほど受取総額が増える仕組みです。
これは、老後の生活を長期的に支える
「二階部分」としての役割を担っていると言えます。
このように、
国民年金+国民年金基金は
一階建てに屋根裏を足すのではなく、
二階建て+屋根裏まで含めた大きな増築です。
そのため、
付加保険料と役割が重なり、
両方を同時に選ぶことはできない設計になっています。

わあ〜!おっきな家だ〜!
ここまでしっかりしてたら、老後も安心だし、毎日快適に過ごせそうだね!

国民年金基金は、付加保険料みたいに月400円という少額ではなくて、
掛金の上限は月額68,000円まである。
それに、基金は口数制だから、
自分で口数を選んで、掛金額を調整できる仕組みなんだよ。
安心をどこまで厚くするかを、自分で決められる代わりに、
毎月の負担もしっかり考える必要がある、ってことだね。

まとめるとね、
なんで付加保険料と国民年金基金は両方に入れないの?
っていう疑問の答えは、実はそんなに難しくないんだ。
- 付加保険料は、国民年金という一階建てに屋根裏だけをちょこっと足すイメージ
- 国民年金基金は、屋根裏に加えて二階までつくっちゃう本格的な増築
- すでに国民年金基金で屋根裏まで含めた家を建てているのに、
さらに付加保険料で「屋根裏をもう一個つくる」って、ちょっと不自然だよね
だからこの2つは、
どっちか一つを選ぶ仕組みになっている、というわけなんだ。

最初は『なんでどっちも入れないの?』ってモヤモヤしてたけど、
家にたとえて考えたら、すごく分かりやすかった!
疑問がスッと解消できたし、
自分に合った選び方を考えればいいんだって思えるようになったよ!

